私のいざなってくれた本

数学に限ってみても、よい本に巡り合う機会はそう多くない。「世の中のほとんどの本は役に立たない」と言って周囲を困惑させたほどだ。

必要なことが部分的に書いてあったり、分かりやすくなかったり、興味の惹くようになっていなかったり、これらでないことを満たす本を見つけるのは至難の技に加えて口コミや運も必要だ。

ところが、まれに巡り合うことがある。そうしたものを並べていけば素晴らしい世界が描かれるのではないだろうか。

選ぶ基準は次の通りである。

・自分自身が(数学的に)成長した。

・無駄が無い。

・印象に残る

なお、本の範疇にとどまらず、講座、ホームページなども対象とした。


・『日日のハイレベル演習』(東京出版)

高校入試の(入試現実の範囲で)限界に挑戦した本。1993年に初版。2006年に改訂版が出版されたが、先年度よりさらに難しくなった。「中学数学をここまで勉強しました」という証になれば、高校数学以降の理解の助けになるのではないだろうか。

2017年に改訂版発行。高校入試は、時代の流れで私立中高一貫校が牽引していた時代から公立と拮抗する時代へ。ただし、難問・良問の程度は、10年前ほど前の比ではなくなっている。さらに一部(公立を含む)の学校が、さらに高校入試問題を深化・進化させている印象。読める人がさらに選ばれることになったが、そのクオリティに少しでも多くの人に向かってほしい本(2019.3記)。

・『生きること学ぶこと』(広中平祐著)

私が中3の時に読書感想文に選んだ本。後に『学問の発見』として加筆修正出版されている。一般次元の特異点解消に向けて行き詰った時のこと、岡潔先生に研究姿勢を指摘された時のこと、生い立ちの時のことなどが、柔らかいタッチで親しみやすい文章で書かれている。淡い時に呼んだこと何もかもが私の思い出、そう今でも私の好きな数学者は広中平祐なのである。

・『新数学演習』(東京出版)

見解によるが、大学入試数学の中でこの本を超える難しさの本はあるのだろうか?と問われたこともある本。東大理傾膤兵圓發海遼椶魏鬚い燭箸いΦ述がよくある。私は27才になってこの本を約4ヶ月かけて読破した。間違いを4ヶ所見つけ、それぞれ出版社に送ったところ全てその通りですと返していただいた。それなりに歴史のある著なので、時間の限られた少ない受験生活の中でみんなきちんと読めたのかな?解説が詳しく、大学入試最高峰というほど読むのは難しくない(手間は掛かるが)。

・『幾何学大辞典』(全6巻+補巻2巻、岩田至康著)

初等幾何学で面白い話題はないかと探すうち高校の図書室で巡り合った。私はこんな本を作る人になりたいと思った。とても一人の人間によるものとは思えないくらい、古今東西の初等幾何の問題と歴史を所収している。20世紀末頃までは池袋のジュンク堂で買えたが、現在休刊中。

・『数学のかんどころ14 ガロア理論』(木村俊一著)

2012年11月初版発行。『数学のかんどころ』シリーズは飯高茂により刊行されたという。私はこれで初めてガロア理論を理解した。

・『ベクトル解析30講』(志賀浩二著)

グラスマン代数と微分形式の本。微分形式のwedge積をあの長い式で定義するのでなく、商代数として定義したグラスマン代数から導かれる積と定義することをこの本で初めて教わった。

・『ルベーグ積分30講』

この本の具体例に触れることで、私は初めてルベーグ積分を理解した。

(続く)

 

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